においに敏感な子ども|給食・柔軟剤・トイレがつらい「嗅覚過敏」のサインと、家でできること
「くさい」「この部屋いや」と言って動けなくなる。においで食べられないものがある。感覚過敏のなかでも見落とされやすい、においの過敏さ(嗅覚過敏)について、よくあるサインと家や学校でできる工夫を、自分もにおいに敏感なADHD当事者の母がまとめました。
感覚過敏というと、音やまぶしさ、服のタグの話が多いですよね。
でも、においがつらいという子もいます。
においは目に見えないぶん、まわりの大人が気づきにくいのかもしれません。
うちの息子はADHDとASDが併存していますが、今回はASD側の特性として出やすい、感覚過敏のなかの「におい」の話です。
息子には食べものの好き嫌いがあって、においや食感が理由で、なかなか手が伸びないものがあります。
幼稚園のころに通ったスイミングは3か月で「行きたくない」になったのですが、いま思えば、プールサイドの反響音と一緒に、塩素のにおいも合わなかったのかもしれません。
実は私自身もADHD当事者で、子どもの頃から音とにおいに敏感なところがありました。
だからこそ、「くさい」の一言の裏にある本人にしかわからないつらさは、少しだけ想像できる気がしています。
においの感じ方は、人によってちがいます
感覚過敏は、音・光・におい・味・肌ざわりなどの刺激を、まわりの人よりずっと強く感じてしまう状態のことです。
ASD(自閉スペクトラム症)のある人には、こうした感覚の過敏さや、逆に鈍さが見られることが多く、いまの診断基準にも特徴のひとつとして入っています。
においの過敏さは「嗅覚過敏」と呼ばれることもあります。
多くの人が気にならない、うっすらしたにおいでも、本人にとっては頭が痛くなったり、気持ちが悪くなったりするほど強く感じられることがあるようです。
ただ、発達障害の診断がなくても、においに敏感な子はいます。
感覚過敏全体のチェックは、別の記事にまとめているので、あわせて見てみてくださいね。

感覚過敏のチェックリスト|診断テストの前に家庭で見てほしいこと、大人の私が気づいたこと
「うちの子、感覚過敏かも」と思ったときに使えるチェックリストを、子ども向け・大人向けに分けてまとめました。診断テストとの違い、感覚過敏があっても発達障害とは限らないこと、相談先の目安まで、感覚過敏のある息子を育てるADHD当事者の母がお伝えします。
においに敏感な子に、よく見られるサイン
子どもは「においがつらい」とうまく言葉にできないことも多いので、行動にサインが出ることがあります。
- 「くさい」「この部屋いや」と言って、入るのをいやがる
- 鼻をつまむ、服のえりで鼻をおおう
- においの強い場所(トイレ、プール、スーパーの魚売り場など)を避けたがる
- 食べる前に、においをかいで確かめる
- においが理由で、食べられないものが多い
- 人の香水や柔軟剤のにおいで、近くにいられなくなる
- においの強い場所のあとに、ぐったりしたり、機嫌が悪くなったりする
ひとつ当てはまるからといって、すぐに過敏さがあるとは言えません。
でも、いくつも重なっているときや、毎日の生活で困っている様子があるときは、「わがまま」ではなく「つらさ」として見てみると、関わり方が変わってくると思います。
においと、食べものの好き嫌い
においの過敏さがいちばん目に見えやすいのが、食事の場面かもしれません。
ASDのある子の偏食については、においや食感、見た目、温度といった感覚の特徴が関係していることが、海外の研究でも報告されています。
食べものは、口に入れる前に、まずにおいで判断しますよね。
においが強く感じられる子にとっては、口に入れる前の時点で、もう「無理」になっていることもあるようです。
「ひと口だけでも」とすすめたくなる気持ちは、私にもよくわかります。
でも、無理に食べさせようとすると、食事の時間そのものがいやになってしまうこともあるので、少し長い目で見ていいのかなと思っています。
食事で試せること
- においが立ちやすい温かい料理は、少し冷ましてから出してみる
- 苦手なにおいの食材は、においの少ない調理法や、別の食材に置きかえる
- 食べられるものを、まずは安心して食べられるようにする
- 新しい食べものは、においをかぐだけ、さわるだけ、から始めてみる
栄養のかたよりが心配なときは、かかりつけの小児科で相談してみると安心です。

家でできる、においの工夫
家は、子どもが一日の終わりに帰ってくる場所です。
外でにおいをがまんしてきた子にとっては、家がにおいの少ない「休める場所」になっているだけでも、だいぶ違うのかなと思います。
- 柔軟剤や芳香剤、消臭スプレーは、無香料のものも選択肢に入れてみる
- 料理中は換気扇を回す、窓を開けるなど、においがこもらないようにする
- 本人が「これは大丈夫」と思えるにおいのハンカチやタオルを持たせる
- においがつらいときに、少し離れて休める場所を決めておく
柔軟剤などの香りについては、消費者庁が、文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省と連名で「その香り 困っている人もいます」という啓発ポスターを作っています。
香りで頭痛や吐き気がするという相談が、全国の消費生活センターに寄せられているそうです。
においのつらさは、子どもだけでなく、大人にも同じように困っている人がいるんですよね。
学校で困ったときは
学校には、給食の時間、トイレ、理科室、プールなど、においの強い場面がいくつもあります。
家とちがって自分で避けられないことが多いので、困っているようなら、担任の先生に相談してみるのがいいかなと思います。
学校には、障害のある子が学校生活を送りやすくするための「合理的配慮」が求められていて、こうした困りごとも相談の対象になります。
たとえば、こんなお願いのしかたがあります。
- 給食のとき、においの強いものから少し離れた席にしてもらえないか
- 苦手なにおいの日は、配膳当番の担当を調整してもらえないか
- トイレがつらいときに、においの少ない別のトイレを使ってもいいか
- においで気分が悪くなったときに、廊下や保健室で少し休んでもいいか
伝えるときは、「好き嫌いではなく、においで気分が悪くなってしまうようです」と、本人がどう感じているかを先に伝えると、受け取ってもらいやすいです。
給食や教室のざわざわなど、学校での感覚過敏の困りごと全般は、感覚過敏の小学生が学校で困ることにまとめています。
「慣れさせる」より「休める場所をつくる」
においを気にする子に、「気にしすぎだよ」「そのうち慣れるよ」と言いたくなるときもあります。
でも、感覚の困りごとは、無理に慣れさせようとすると、かえって苦痛が強くなることもあると言われています。
においは、目をつぶるようには、自分でシャットアウトできないものです。
だからこそ、においを消すことより、つらくなったときに逃げられる場所や方法を、一緒に用意しておくことのほうが大事なのかなと思っています。
まとめ
- においの感じ方は人によってちがい、うっすらしたにおいでも、頭痛や吐き気が出るほどつらく感じる子もいます
- 「くさい」と言って部屋に入れない、においをかいでから食べる、などがサインになることがあります
- 偏食の背景に、においや食感などの感覚の特徴が関係していることもあるようです
- 家では、無香料のものを選ぶ、換気をする、安心できるにおいを持たせるなど、休める工夫ができます
- 学校で困ったときは、本人がどう感じているかを添えて、担任の先生に相談してみてください
- においの感じ方が急に変わったときは、耳鼻咽喉科やかかりつけの小児科に相談してみると安心です
私自身、子どもの頃からにおいに敏感で、まわりにわかってもらいにくいつらさは覚えがあります。
だから、息子が「くさい」と顔をしかめるとき、それを「失礼でしょ」で終わらせずに、まずは「つらかったね」と受け止められる母でいたいなと思っています。


