聴覚過敏の子どもへの対応|音が苦手な息子と、実は耳をふさいでいた私の話
子どもの聴覚過敏について、どんな音が苦手なのか、家庭でできる対応、イヤーマフやノイズキャンセリングの使いどき、学校への伝え方までまとめました。感覚過敏のある息子を育てながら、自分も音に敏感だったと気づいたADHD当事者の母がお伝えします。
夏の朝、窓の外でセミが鳴きはじめた瞬間に、息子が耳をふさいで「音量下げたい」と言いました。
その時に思い出したんです。
私も子どもの頃、同じように耳をふさいでいたことを。
「聴覚過敏 子ども」と検索しているということは、お子さんが特定の音を嫌がる場面を、何度か見てきたのだと思います。
うちの息子(小4・ADHDとASD併存)には感覚過敏があって、そのなかでも音への反応がいちばんはっきり出ます。
そして私自身も、大人になってからあれも聴覚過敏だったのかもしれないと気づいたひとりです。
この記事では、専門的な説明よりも、家に帰ってから今日すぐできることを中心にまとめますね。
聴覚過敏とは|音が「大きく」聞こえてしまう状態
聴覚過敏は、まわりの人が気にならない音量の音を、実際よりずっと大きく、痛いくらいに感じてしまう状態のことを言います。
聞こえが悪いわけではありません。
むしろ逆で、拾わなくていい音まで拾ってしまう、という感じに近いです。
発達障害のある子に見られることがありますが、聴覚過敏がある子が全員発達障害というわけではありませんし、その逆でもありません。
子どもがよく苦手だと言う音
うちや、通級で一緒だったお子さんたちの話を聞いていると、出てくる音はだいたい似ています。
- 掃除機、ドライヤー、ハンドドライヤー
- 運動会のピストル、非常ベル、火災報知器の点検
- 赤ちゃんの泣き声、子どもの高い声
- 給食の時間の食器の音、いすを引きずる音
- 花火、雷、セミ
- 電車やバスのアナウンス、車のクラクション
ポイントは、音の大きさより「予測できるかどうか」で反応が変わることです。
自分で押した掃除機のスイッチは平気なのに、人が急につけた掃除機はだめ、ということが起きます。
「うるさいのが嫌い」とは何が違うのか
大人でも、うるさい場所は苦手という人はいます。
聴覚過敏と呼ばれる状態との違いは、本人が我慢でどうにかできる範囲を超えているかどうかです。
- 耳をふさぐだけでなく、その場から逃げようとする
- パニックになる、泣く、怒り出す
- 音が鳴りそうな場所そのものを避けるようになる
- そのあとしばらく疲れて動けなくなる
このあたりが出ているなら、わがままではなく、しんどさとして扱ってあげたほうがいいと思っています。
うちは長いこと「大げさだなあ」と思っていました。
今は、そう思っていた時期のことを少し申し訳なく感じています。
家庭でできること|まず音の量を減らす
対応は難しいことからではなく、家の中の音を減らすところから始めるのがいちばん早いです。
1. 予告してから音を出す
これがいちばん効きました。
掃除機をかける前に「今から掃除機かけるよ」と一言だけ言う。
たったこれだけで、息子の反応がずいぶん変わりました。
心の準備ができている音は、同じ音量でも耐えられるようです。
2. 逃げ場を先に決めておく
苦手な音が鳴る場所に行くとき、あらかじめ逃げていい場所を決めておくと、本人が安心します。
うちは、外出先で「つらくなったらここに戻ろう」という場所を先に一緒に見ておくようにしました。
避難できると分かっているだけで、粘れる時間が伸びます。
3. 音が重なる時間を作らない
テレビをつけたまま、換気扇を回して、洗い物をする。
大人には普通でも、音が三つ重なっている状態です。
うちは、夕方のいちばんばたばたする時間だけテレビを消すようにしました。
これは息子のためというより、私が楽になりました。
4. 「静かにしなさい」は逆効果になりやすい
耳をふさいで騒いでいる時に静かにするよう言うと、余計に混乱してしまうことがあります。
音そのものを止めるか、その場から離れるほうが早いです。
理由を聞くのも、落ち着いてからで間に合います。
イヤーマフとノイズキャンセリングイヤホン
道具に頼ることに抵抗を感じる方もいると思います。
私も最初はそうでした。
でも、めがねをかけるのと同じことだと思うようになってからは、気が楽になりました。
使い分けの目安
| 道具 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| イヤーマフ | 運動会、花火、工事現場のそば、突発的な大きい音 | 見た目が目立つので、本人が嫌がることがあります |
| ノイズキャンセリングイヤホン | 電車、ざわざわした店内、家での勉強中 | 音楽を流すと会話に気づけないことがあります |
| 耳栓 | 短時間、寝るとき | 小さい子には落としたり無くしたりのリスクがあります |
選ぶときに見たところ
- 本人が自分でつけ外しできるか
- 重すぎないか(子ども用の軽いものが出ています)
- 長時間つけていて耳が痛くならないか
- 洗えるか、汚れても大丈夫か
一日中つけっぱなしにしていいのか
ここは意見が分かれるところのようです。
音をずっと遮断していると、かえって敏感になっていくのではないかという指摘もあると聞きました。
うちは、苦手な音が分かっている場面だけ使うという形に落ち着いています。
心配なときは、耳鼻科や主治医に相談してみてください。
学校や園に伝えるとき
「聴覚過敏があります」とだけ伝えても、先生は何をしたらいいか分かりません。
伝えるときは、場面と、してほしいことをセットにすると通りやすいです。
伝え方の例
- 「非常ベルの点検の日は、事前に教えていただけると助かります」
- 「運動会のピストルが苦手なので、少し離れた場所で待たせてもらえますか」
- 「イヤーマフを持たせています。使っていたら、そのままにしてもらえると助かります」
- 「給食の時間の食器の音が苦手なようです。席の位置だけ配慮いただけませんか」
お願いの数は、一度に一つか二つにしぼったほうがいいです。
全部お願いすると、いちばん通したいことが埋もれてしまいます。
本人にも説明の言葉を渡しておく
友だちに「なんでそれつけてるの」と聞かれる場面は、必ず来ます。
うちは、息子が自分で言える一言を一緒に考えました。
大きい音がちょっと苦手だから、これつけてる。
これで十分でした。
親が心配していたほど、まわりの子は気にしていませんでした。

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相談したほうがいい場面
家庭の工夫でしのげる範囲を超えていると感じたら、早めに相談してみてください。
学校のスクールカウンセラーや通級の先生も、意外と相談先として頼りになります。
うちは通級の先生に「音が苦手な子は、給食の席をどうしていますか」と聞いてみたところ、他の子の例をいくつか教えてもらえました。
親自身が音に敏感なこともあります
これは書くか迷ったのですが、私の話も少しだけ書かせてください。
セミの音に息子が耳をふさいだ日、私はわかる、母も昔ふさいでたと思いました。
私はADHDの当事者でもあるので、感覚のことも人ごとではありません。
子どもの頃、体育館の反響音がだめで、集会の時間がいつも苦痛でした。
でも当時は「聴覚過敏」という言葉を知らなかったので、自分が変なのだと思っていました。
もし今、お子さんの様子を見ていて自分にも思い当たることがあるなら、それは責める材料ではなくて、気持ちが分かる強みのほうだと思います。
うちは、二人で耳をふさぎながら「うるさいね」と言い合うことがあります。
そのほうが、息子も安心するみたいです。

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好きなことに集中している時間は、音が気にならないこともあります
不思議なのですが、息子はマイクラをやっている時だけ、まわりの音にほとんど反応しません。
集中しているときは、脳が音を拾わなくなるのだと思います。
その姿を見てから、没頭できるものを持っているかどうかは、感覚の面でも意味があるのかもしれないと思うようになりました。
苦手を減らす工夫と並行して、集中できる場所を一つ持っておくと、しんどい時期の逃げ場になります。
まとめ
- 聴覚過敏は、まわりが気にしない音を実際より大きく、痛いくらいに感じてしまう状態です
- 音の大きさより、予測できるかどうかで反応が変わることがあります
- 家庭では、音を出す前の予告と、逃げ場を先に決めておくことがいちばん効きました
- 音が三つ重なる時間を作らないだけでも、家の中がずいぶん静かになります
- イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンは、いつ外してもいいという前提で渡すと使ってくれやすいです
- 学校に伝えるときは、場面としてほしいことをセットにして、お願いは一つか二つにしぼります
- 耳の痛みが続く、生活に影響が出ているときは、まず耳鼻科で聞こえを見てもらうと切り分けができます
- 親自身が音に敏感だった場合、それは責める材料ではなく、気持ちが分かる強みだと思っています
音を消してあげることはできません。
でも、その音がつらいということを分かっている人が家にいるだけで、子どもはずいぶん違うようです。
うちも、まだ毎日うまくやれているわけではないですが、耳をふさいでいる背中を見て「うるさいよね」と言えるようにはなりました。


