スクラッチは何から作る?ADHD息子が続けられた初級の4ステップと教材の選び方
スクラッチを始めたけれど次に何を作らせればいいか分からない、という親御さんへ。ADHDとASDのある小4息子が実際にたどった初級の4ステップと、続かなかった教材・続いた教材の違いを、実体験でまとめました。
「スクラッチを始めたけど、次は何を作ればいいの?」
うちの息子(小4・ADHDとASD併存)がスクラッチを始めたとき、いちばん困ったのは、始めた翌日でした。画面を開いたはいいものの、親子そろって、何をすればいいのか分からなくなったのです。
スクラッチは無料で始められて、しかも自由に何でも作れます。それが良いところなのですが、始めたばかりの子にとっては、その自由さがそのまま「どうしたらいいか分からない」に変わってしまうことがあります。
うちの息子も、初日は「キャラクターが動いた」と大よろこびだったのに、2日目には画面の前で固まっていました。ネットで教材を調べてみても、本や動画やサイトがたくさん出てきて、今度は私のほうが選べなくなってしまって。
この記事では、そこからの1〜2ヶ月で、うちが実際にどんな順番で進めたのか、どの教材が続いてどれが続かなかったのかを、そのまま書いていきます。
最初につまずいたのは「自由すぎる」ことだった
意外かもしれませんが、うちがつまずいたのは操作の難しさではありませんでした。むしろ「何を作ってもいい」と言われると手が止まるところでした。
息子には、ASDの特性で「見通しが立たないと動けない」ところがあります。宿題も、範囲がはっきりしているとやれるのに、「自由研究」のようにゴールが決まっていないものは、まったく進まないタイプでした。
スクラッチも同じで、白紙の画面を前に「好きなものを作っていいよ」と言われても、それは息子にとってはいちばん難しい指示だったのだと思います。
私自身もADHDなので、この感じはよく分かるのです。やることが決まっていれば動けるのに、選択肢が多いと、どれも選べないまま時間だけ過ぎる。息子を見ていて、あ、私と同じだと思いました。
なので、うちがやったのは「自由に作らせる」のをいったんやめて、作るものを親が決めてしまうことでした。自由は、続けられるようになってからでも遅くなかったです。
うちが通ったスクラッチ初級の4ステップ
1〜2ヶ月かけて、こんな順番で進めました。1つのステップにどれくらいかかるかは、お子さんによって全然違うと思うので、日数はあくまで目安として見てください。
ステップ1:まず「1つだけ動かす」
最初の1週間は、作品を作ろうとしないことにしました。やったのは「ネコを10歩動かす」だけ。それだけです。
物足りないかなと思ったのですが、逆でした。ゴールが小さいと、息子は毎回「できた」で終われます。ドリルだと途中で力尽きるのに、スクラッチは1日3分で「できた」まで届くので、次の日も自分から開くようになりました。
このステップの目的は、作品を作ることではなくて、「開いたら必ずできた、で終わる」体験を積むことだったなと、あとから思います。
ステップ2:チュートリアルを1本だけ最後まで
次に、スクラッチの公式サイトに入っているチュートリアル(手順つきの練習)を1本だけ選んで、最後までやりました。
ここでのポイントは、1本だけと決めたことです。息子は目移りしやすいので、選べるようにすると全部を少しずつかじって、どれも完成しないまま終わってしまいます。だから私が1本選んで、他は開かせませんでした。
最後まで通せたことで、「終わらせられた」という感覚が本人に残ったようで、ここが一番の分かれ目だった気がしています。
ステップ3:好きなものに差し替える
チュートリアルが1本終わったら、その作品の中身を息子の好きなものに差し替えるだけ、という遊びに移りました。
キャラクターの絵を好きなものに変える。音を変える。背景を変える。ゼロから作るのではなく、できあがったものをいじるだけなので、負担がぐっと軽いのに、本人の中では「自分の作品」になります。
ここで初めて、息子から「こうしたい」が出てきました。差し替えるだけの遊びが、結果的にいちばん創作に近づいた気がします。
ステップ4:誰かに見せる
最後は、できたものを家族に見せる時間を作りました。夫に見せる、それだけです。
発達特性のある子は、できたことを認めてもらえた記憶が次の燃料になることが多いように感じています。通級でも療育でも、そうやって伸びる場面を何度も見てきました。
うちの息子も、夫が「これどうやって作ったの」と聞いた日から、次の作品の話を自分からするようになりました。
教材選びで失敗したこと、うまくいったこと
教材はいくつか試して、はっきり差が出ました。
分厚い本は続かなかった
最初に買ったのは、書店で評判の良かったスクラッチの入門書でした。内容はとても良かったのだと思います。ただ、うちの息子にはページ数の多さそのものが「終わらないもの」に見えてしまったようで、開いた初日に閉じました。
紙の本は、今どこをやっているかを自分で管理する必要があります。それが息子には負担でした。ワーキングメモリに苦手さがある子には、けっこう大きいハードルだったなと思います。
動画教材は「止められる」のが良かった
逆に続いたのが、動画で手順を見せてくれるタイプの教材でした。理由ははっきりしていて、自分のペースで止められるからです。
息子は手を動かすのがゆっくりなので、本だと「読む・探す・置く」の往復で疲れてしまいます。動画なら、止めて、真似して、また再生する、で進めます。私が横についていなくても進むので、家事をしながら見守れたのも正直ありがたかったです。
無料と有料、どう使い分けたか
最初の1〜2ヶ月は、有料の教材は買いませんでした。公式のチュートリアルと無料の動画で十分でしたし、合わなかった時に「せっかく買ったのに」と思いたくなかったのが本音です。
親が投資してしまうと、続けさせたい気持ちが出てしまって、それが子どもに伝わります。うちは過去に習い事でそれをやってしまって、息子が苦しくなった経験があるので、最初はお金をかけないと決めていました。
発達特性のある子の教材選び、3つの基準
いろいろ試した結果、うちが今も基準にしているのはこの3つです。
| 基準 | なぜ大事か |
|---|---|
| 1回が短く区切られているか | 集中が続かなくても「できた」で終われる |
| 今どこかが一目で分かるか | 現在地を自分で管理しなくていい |
| 途中でやめても戻れるか | 中断が失敗にならない |
どれも「内容の良さ」ではなくて、途中でやめた時に傷つかない作りかどうかという話です。発達特性のある子の教材選びでは、ここがいちばん効いた実感があります。
家庭だけだと難しいと感じたら
ここまで書いてきて何ですが、家庭でやれることには限界もありました。
うちの場合、ステップ3を過ぎたあたりで息子が「敵が追いかけてくるようにしたい」と言い出して、そこで完全に止まりました。私はプログラミングにくわしくないので、教えてあげられなかったのです。
本人のやりたい気持ちが伸びているのに、親が答えられなくて止まってしまう。あれは、けっこう申し訳ない気持ちになりました。通級や療育でも感じてきたことですが、その子に合わせて次の一歩を出してくれる大人の存在は、やっぱり大きいなと思います。
うちが小3から通っているのが、発達障害のある子の支援で知られる会社が運営しているリタリコワンダーというプログラミング教室です。スクラッチのほか、マインクラフトやロボットなども選べて、決まった教材を全員に一律でやらせるのではなく、その子の「好き」と進み具合に合わせて進めてくれるのが、うちには合っていました。
この記事に書いた「1回を短く区切る」「今どこかを分かるようにする」といった工夫を、先生の側でやってくれるイメージです。
合う合わないは体験してみないと分からないので、家庭で止まってしまった感じがある方は、まず無料体験でお子さんの反応を見てみるといいかもしれません。
よくある質問
スクラッチは何から作らせるのがいいですか?
うちは「作品を作る」より先に、ネコを10歩動かすだけ、から始めました。最初のうちは1日3分で「できた」まで届く小ささのほうが、結果的に続きやすかったです。
教材はたくさんある中でどう選べばいいですか?
内容の良さより、1回が短いか、今どこか分かるか、途中でやめても戻れるかで見ています。途中で離脱しても傷つかない作りのものが、うちの息子には合っていました。
有料の教材は必要ですか?
最初の1〜2ヶ月は、公式のチュートリアルと無料の動画で足りました。合うかどうか分からないうちに買うと、親のほうが「続けさせたい」気持ちになってしまうので、うちはしばらく無料で様子を見ています。
親がプログラミングを知らなくても進められますか?
ステップ3くらいまでは、一緒に画面を見ているだけで大丈夫でした。ただ、お子さんが「こうしたい」と伸びてきた時に答えられず止まってしまうことはあるので、その時は教えてくれる環境を考えると安心かなと思います。
まとめ
- スクラッチでつまずくのは操作ではなく、自由すぎて何を作るか決められないところだった
- うちは「1つだけ動かす → チュートリアル1本だけ → 好きなものに差し替える → 誰かに見せる」の順で進めた
- 分厚い本は続かず、自分のペースで止められる動画教材が続いた
- 教材は内容の良さより、途中でやめても傷つかない作りかどうかで選んでいる
- 家庭で止まってしまったら、その子に合わせてくれる環境を検討するのもひとつの選択肢
始めた翌日に固まっていた息子が、今では自分から「次はこれ作る」と言うようになりました。特別なことをしたわけではなくて、やることを小さくして、選ばせなかっただけです。同じところで止まっている方の、なにかの参考になればうれしいです。


