ADHDは遺伝するの?自分もADHDの母が、息子の診断で向き合った「遺伝」のこと
「ADHDは遺伝するの?私のせいかもしれない」と検索した親御さんへ。自分もADHD当事者の母が、ADHDとASDのある小4息子の診断で向き合った「遺伝」の話を、研究でわかっていることと実体験の両面から、やさしくまとめました。
「ADHDは遺伝するの?」
息子に診断がついたあと、私が夜中にこっそり検索した言葉です。
知りたかったのは、たぶん医学的な正解ではなくて。これは私のせいなのかどうか、それを確かめたかったのだと思います。
私もADHD。だからこの子も…って、答え合わせみたいに検索してしまったんです。
同じように、深夜にそっと調べている親御さんに向けて、研究でわかっていることと、私自身が「遺伝」と向き合ってきた実体験の両方を、できるだけやさしく書いてみます。
「ADHDは遺伝するの?」と検索したくなる気持ち
この言葉を検索する親御さんの多くは、たぶん知識が欲しいというより、「私のせいだったのかもしれない」という気持ちを、どこかで確かめたいのではないかなと思います。
私がそうでした。
息子の困りごとが増えるたびに、「私のこの特性を受け継いでしまったんだ」「私が親じゃなければ」と、責める矛先がいつも自分に向いていました。
でも、まず先にお伝えしたいことがあります。ADHDは、育て方やしつけが原因でなるものではないとされています。愛情が足りなかったから、でもありません。ここは、後ろめたさを抱えている親御さんに、いちばん最初に知ってほしいところです。
研究でわかっていること
ADHDについては、これまで世界中でたくさんの研究が行われてきました。そこで共通して言われているのが、ADHDには生まれ持った脳の特性(体質)が関わっていて、その中で遺伝の影響も大きいと考えられている、ということです。
双子やご家族を対象にした研究では、遺伝の関与がかなり大きいと報告されています。親がADHDの特性を持っている場合、お子さんにも特性が見られる割合は、そうでない場合より高くなる傾向があるとされています。
大切なのは、遺伝という言葉を「親の責任」と結びつけて考えなくていいということです。特性は「誰かのせい」で生まれるものではなく、その子が生まれ持ったものの一つ。ここを取り違えると、親も子も苦しくなってしまいます。
(※ 遺伝や原因については研究が今も進んでいる分野です。気になることは、かかりつけの医師や専門機関に相談されるのがいちばん確かです。)
「私のせいで遺伝させた」と責めていた頃
正直に書くと、私はしばらく「私のADHDを、この子に遺伝させてしまった」という気持ちから抜け出せませんでした。
忘れ物が続くと、「私に似たんだ」。 気持ちの切り替えが苦手な様子を見ると、「これも私だ」。
息子の困りごとを見るたびに、自分の特性を重ねて、勝手に落ち込んでいました。
この子が大変なのは全部私のせいだって、当時は本気でそう思っていました。
でも、あるとき気づいたんです。私が「遺伝させてしまった」と落ち込んでいる時間は、息子のために何ひとつ動いていないな、と。
自分を責めることは、息子を助けることとは、まったく別のことでした。
遺伝かどうかより、今できることに目を向けたら楽になった
「遺伝したかどうか」は、もう変えられません。過去に向かって問い続けても、答えは出ないし、出たところで今日の困りごとは減らない。
そう思えてから、私は少しずつ、「原因さがし」から「今できることさがし」へ気持ちを切り替えていきました。
- 忘れ物が多いなら、責める前に持ち物チェックの仕組みを一緒に作る
- 切り替えが苦手なら、終わりの時間を早めに予告しておく
- できた日は、当たり前と思わずに一緒に喜ぶ
こうした小さな工夫は、「誰のせいか」を考えている間は、ひとつも出てきませんでした。目線を未来に向けた瞬間に、やっと動き出せた気がします。
日々のバトルとの付き合い方は、こちらの記事にもまとめています。

母も子もADHD。片付け・忘れ物・宿題の三大バトルと、私たちなりの付き合い方
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同じ特性だからこそ、わかってあげられること
そして、これはずっとあとになって思えたことですが。
私自身もADHDだからこそ、息子の「できなさ」の中身が、手に取るようにわかるのです。
やろうと思っているのに体が動かない感じ。忘れたくて忘れているわけじゃないこと。頑張っているのに空回りしてしまう、あのもどかしさ。
「なんでできないの」ではなく、「わかるよ、あれしんどいよね」と言える。それは、同じ特性を持っている私にしか渡せない言葉かもしれない、と思うようになりました。
遺伝だと知って落ち込んでいたことが、いつのまにか「この子の気持ちを一番わかれる親」でいられる理由に変わっていました。
似ているのは、困りごとだけじゃない。この子のいいところも、私によく似ているんです。
好きなことを伸ばせる場所を持っておく
特性のある子は、苦手なことでつまずく場面が多い分、「これは得意」「これは好き」と思える場所を持っておくことが、自信の支えになりやすいと感じています。
わが家の息子の場合は、それがプログラミングでした。じっと座るのは苦手なのに、好きなものづくりの前では驚くほど集中する。その姿を見て、「苦手」ばかり数えていた私の見方が変わりました。
発達特性のある子への関わりに慣れた教室で、本人の「好き」を軸に伸ばしてくれる場所を探していて出会ったのが、リタリコワンダーでした。決まったカリキュラムをこなすのではなく、その子のペースと興味に合わせてくれるスタイルで、うちの息子には合っていました。
体験は無料なので、「好きを伸ばす場所ってどんな感じかな」と気になったら、まず様子を見てみるのもいいかなと思います。
深夜に「ADHDは遺伝するの?」と検索したあの日の私に、もし声をかけられるなら。「あなたのせいじゃないよ、大丈夫」と、まずそう伝えたいです。
同じ気持ちで検索したあなたにも、この記事が、少しだけ肩の力を抜くきっかけになれたらうれしいです。

【実体験】わが子がADHDと診断されるまで — 違和感から診断までの全工程
「うちの子もしかしてADHD?」と感じてから、実際に診断が出るまでにどんなステップを踏むのか。担任からの指摘、スクールカウンセラー、小児科、療育センター、医師の診察まで、当事者の親の視点でリアルに記録します。


